2012年2月27日月曜日

第四話 城山センターでお昼ご飯



次の目的地は枕崎市を南北に流れる「花渡川(けどがわ)」を渡った桜山地区にあります。その昔、桜山で咲いた桜の花びらがひらひらと川を渡ったさまから花渡川と呼ばれるようになったといいます。

坂道をのぼって辿り着いたところは「城山センター」。隣を小学校と中学校に囲まれた、公民館に近いような雰囲気の施設です。畳敷きの広間は「彼女」が成人式の二次会で同級生と集ったオモイデの場所です。ここに長机を並べて、昼食の準備をしているとき、誰かが「法事みたい」とつぶやきました。そう、まるで親戚一同が田舎に集まって机を囲んでいるような不思議な感じがしてくるのです。そこへ「彼女」の友だちも駆けつけてくれました。





お楽しみのお昼ご飯は、「魚処 まんぼう」のかつお丼と鹿籠豚(かごぶた)丼の二種類。お茶で乾杯して箸を伸ばします。かつお丼には鰹のたたきや刺身など数種類の具が、鹿籠豚丼には旨みの染み込んだくせのないお肉がボリュームたっぷりにのっています。お漬物に厚めの鰹節がかかっているのも枕崎ならではという感じがします。さらには、こっそりとオモイデトラベルを見に来てくださった「彼女」のご家族から「かつおもなか」の差し入れをいただきました。中にあんこと求肥の入ったおいしい最中でした。






無心に食べたあとは少しの休憩。午前中の興奮もあってか、まどろむような時間が過ぎます。隣の小学校からはバザーの賑わう声とブラスバンドの音色。広間から足を伸ばせば娯楽室や台所があり、壁一面に張られた小学生の標語や日焼けした図書の本、囲碁盤やマッサージチェアなどが。地域の暮らしに寄り添うように時を刻んできた気配がそこにはありました。







最後に、彼女と同級生の友だち二人で城山センターの前で記念撮影。同じ土地に生まれ一緒に育ったというそれだけのことが、こんなにも温かいということを教えてくれるような一コマでした。






次回「あなたのオモイデ、わたしのオモイデ。~南方神社と招魂塚幼稚園~」へつづく




オモイデトラベル 〜枕崎 行き〜
プロローグ
第一話 BON DX Live ~BONさんの大きな笑顔~
第二話 枕崎の空 ~枕崎空港へ~
第三話 中原公園 ~鳥の目線になれるところ~
第四話 城山センターでお昼ご飯

2012年2月16日木曜日

「森の中、ある日、自然とのかかわりを巡る時間。」






「環境や自然をテーマにした場を一緒につくろう。」そんな、お誘いをある日受けました。

環境問題というものは重要なこと。そうは思いつつ、やっぱり、僕の毎日の暮らしのなかではどこが遠いものに。
コトバや既にもっているイメージからなのか、しぜんと敷居をあげてしまっていることに気付きます。
でも、まぁ、むずかしいことを考える前に、たまには自然の中へ出かけてみたくなった。
子どもの頃のように、その日だけ日常から離れる遠足へ。

− 森の中、ある日、自然とのかかわりを巡る時間。

この日、自分なりの自然とのかかわりをもった働き方をしている三名の方をお招きして、その方々と一緒に過ごします。
日々の暮らしのなかに、どんなことを大切にして自然と向き合っているの?
そんなことをたずねながら、じっくり話しながら。彼らが大切にしている知恵や技術に触れながら。

一緒に過ごした時間のなかで、新たな発見や出会いがあること、自分なりのかかわり方のヒントが生まれることに期待をしています。

遠足から帰ってくると、いつもの景色が違って見えるかもしれません。
子どもの頃に、そうだったように。

さぁ、バスに乗り込んで川辺へ遠足に出かけよう。想像しないような温かな経験と自然に出会いに。


久保 雄太 (サクラ島大学)




「かわなべ遠足2012」は、その日、3つのコースにわかれます。「いきものコース」「たべものコース」「大地のこどもコース」
3つのコースには、それぞれに自然とかかわりもちつつ働きをしているガイドさんがいます。ガイドさんの、その世界の話をじっくりと聞いたり、体験できたり。自然あふれる森の中で、五感いっぱいに感じ、学んでゆきましょう。(※大地のこどもコース。ここでつかわれている、「こども」というのは子ども向けのコースという意味ではありません。一般・親子ともに参加できます。)













かわなべ遠足2012
「森の中、ある日、自然とのかかわりを巡る時間。」


【開催日時】2012年3月10日(土)
【教室】南九州市馬事公苑南九州市川辺町野崎8152
※遠足バスご利用の方は、鹿児島中央駅西口:8時45分集合
※馬事公苑での現地合流も可能です
【定員】45人(先着順)
【参加費】1,000円 (保険代+昼食代)
【参加対象】一般(親子での参加可能)
【授業の流れ】
 8時45分~ 鹿児島中央駅西口前(ビックカメラ側) 集合
 9時00分~ バス出発!
 10時00分~ 馬事公苑にてオリエンテーション
 10時15分~ 3つのコースへ ~前半~
 12時00分~ お昼ごはん
 13時00分~ 3つのコースへ ~後半~ 
 16時00分~ 終わりに 
 17時00分~ 馬事公苑を出発! 
 18時頃〜 鹿児島中央駅西口前(ビックカメラ側)到着、解散予定。

【用意するもの】
※ 参加費1,000円が必要となります。
※遠足バス(無料)をご利用の方は、鹿児島中央駅西口前(ビックカメラ側)8時45分集合となります。また、馬事公苑での現地合流も可能です。
※ 自然体験型の授業となります。よごれてもよい動きやすい服装でお越し下さい。
(雨具・マイ箸・マイコップ・タオル等)
※ バス移動になるため、 酔い止め等の薬は各自お持ちください。
※ 今回の授業は、先着順とさせていただきます。
※ 帰りの到着時刻は、予定時刻となります。到着が遅れる場合も考えられますので、余裕を持ってご参加ください。

【主催】
NPO法人エコリンク・アソシエーション
サクラ島大学


その他、かわなべ遠足に関するお問い合わせはこちらまで。
sakurajima.univnet@gmail.com


> 授業予約申込みフォームへ


かわなべ遠足(大地のこどもコース)




かわなべ遠足2012
・大地のこどもコース
「北米先住民の持つ、古い技術を分かち合う。」


先人が残してくれた、1万年の技術のすべてを、僕たちは引き継いだ。
だから今、思い出そう。多くを失わないやり方を。1万年間続いた、普遍的な技術を。風とともに、手放そう。大地のたしかさに、甘えよう。狐のように歩こう、鳥の目で観よう。しずくのようにとどめることなく、沈黙の美に従おう。
離ればなれにならないために、草の綱を綯おう。ちいさな炎の優しさに。
いま一度、教えてもらおう。


[大地のこどもコース]

大地のこどもコースでは、つぎの技術をやってみます。出来ても、出来なくても、それはそれでいいのです。古い技術を覚えたあとに、すこしでもあなたのなかに、“よりどころ”みたいなものができれば、わたしはそれが、うれしいのでした。
・もののみかた (凝視をしないこと)  ・ひものつくりかた (受け継ぐこと)
・あるきかた (音をたてないこと)   ・ひのおこしかた (熱をかんじること)
・わなのかけかた (観察すること)   ・かくれかた (ただ在ること)




大地のこどもコース ガイド
テンダー | 旅人・ヨホホ研究所

先住民技術から電子回路まで。ありがたい先人の智慧を引き継ぐ、1万年目のこども。
今年の目標は、ナイフ一本で一ヶ月を生きぬくこと。さあどうなりますやら! (http://yohoho.jp/)


> かわなべ遠足2012案内ページへ

かわなべ遠足(たべものコース)





かわなべ遠足2012
・たべものコース
「鶏を〆め、飯を炊く。昔は当たり前にあったオモテナシの風景。」


今日は、「食べる」ことに、じんわりと、じっくりと、向き合う一日です。
私たちが口にする食べ物は、全てが生きモノです。
牛も、豚も、卵も、野菜も、お米も、果物も、みんな命あるモノたち。
一羽のニワトリから、一杯のご飯から、私の「食」を見つめてみたい。


[たべものコースの内容]

勉強をしたり、技術を覚える場ではありません。食べ物コースでは、皆さんと一緒に、「風景」をつくりたいなと思います。
ニワトリを〆て血抜きしたら、お湯に通して、羽をきれいにむしります。
ムネ肉、ササミ、モモ肉、手羽元、手羽先、セセリ、鶏ガラ・・・部位ごとに分けたら、ガラは弱火でコトコト煮込みます。ご飯が炊けたら、ムネ肉、金糸玉子、煮込みシイタケ、ゴマ、海苔、ネギをのせ、鶏ガラスープをかけたら「鶏飯」のできあがり。モモ肉を炭火で焼いて、遅めのお昼ご飯をいただきましょう。僕にとっては、至福のひと時です。この風景を通して、暮らしに大切なコトと向き合うきっかけになれば嬉しいです。



たべものコース ガイド
高橋 素晴 | 黒潮農場NPO法人アースハーバー

「人は自然の摂理からかけ離れては豊かに生きていけない。」そんな想いで海水から天然塩をつくる釜元を営むかたわら、「食」と「学び」を通して、人と自然をゆるやかにつなぐ活動を展開しています。


> かわなべ遠足2012案内ページへ

かわなべ遠足(いきものコース)





かわなべ遠足2012
・いきものコース
「虫博士との冬の森、そして人生。」


森の中で春を待つ生き物たち。
その「あしあと」には理由があります。
そんな「森の歩き方、楽しみ方」を通して、
あなたが感じたことを大切にする時間をのんびり過ごしましょう。
森を案内するのは虫の図鑑を共著するくらい虫大好き虫博士。
あなたの知らない不思議な世界にご案内します。


[いきものコースの内容]

寒い冬を「さなぎ」や集団越冬で乗り越えた虫たちや植物の痕跡を歩きながら紹介。参加者が疑問に感じたことや発見を大切にしながら、森を楽しく歩くお手伝いをします。昼食を摂った後、自分たちで森をもう一度散策して、「自分たちが見つけた生き物や楽しい発見」を持ち寄ってグループで発表。楽しみ方を参加者自身で深めていくような1日です。また「生態系」のこと、「虫と人間のかかわり方」、「本当の虫の生態」など、まだまだ人間にはわかっていない虫の世界に触れるひと時も。




いきものコース ガイド
塚田 拓 | 虫央堂
(日本昆虫学会・コガネムシ研究会・ハネカクシ談話会・宮崎昆虫同国会・鹿児島昆虫同好会など所属)

中学時代、当時のバイブルだった図鑑の著書である福田晴夫先生との出会いが虫屋への第一歩。それ以来30年、いつでも昆虫たちは私たちの想像を越える色・形・生態を見せてくれます。いつまでもこの昆虫たちと共生できる世の中でありたいものです。


> かわなべ遠足2012案内ページへ

2012年2月15日水曜日

「まちづくりで大切なこと。」



昨年にひきつづき、鹿屋デザインマーケット(2012年3月4日[日])にお誘いいただきました。
前回は、「かのやデザインパワースポットめぐり」と題し、デザインマーケットを起点に、鹿屋を巡る授業を企画しました。一日かけて、鹿屋の魅力を体感できた思い出が残っています。

そして、今年は主宰の建築家・川畠さんより「デザイン・まちづくり」をテーマにした学びの場をつくりたいとお声かけいただきました。デザインマーケットの会場となる北田商店街は、老朽化に伴いアーケードの撤去が決まり、これからの商店街をどうしていこうかと、皆で考えをめぐらせているのだとお聞きしました。

まちづくりというコトバは、敷居が高かったり、疑問をもたれたりと、少なからずいいイメージばかりではないなぁと感じています。まちの魅力は、住んでいる人や暮らしであり、営みをされている方々そのものだから。そんな想いのなか、今回「デザイン」と「まちづくり」というキーワードから、お話をうかがいたいとお願いしたのは、田北雅裕さん。「当事者になる」ことを大切にされる田北さんのまちづくりに対して考えていることを、商店街のみなさんや、デザインマーケット来場者のみなさんと、一緒にぜひわかちたいと思いました。



田北さんより

「まちづくり」は、決して難しくありません。自分自身が、まちの住民=当事者であること。そんなシンプルな事実を自覚し、多様な人たちと協働しながら次の世代に希望を託す営みです。今回は、そんな「まちづくり」を進める上で大切なこと、そしてちょっとしたコツなどについて、お話しようと思います。

※北田商店街ではアーケード老朽化に伴いアーケードを撤去し、新しい姿の商店街を模索しております。商店街の現状についての説明と意見交換会も開催します。




田北雅裕
九州大学大学院 統合新領域学府 ユーザー感性学専攻
人間環境学研究院 教育学部門 専任講師

デザイナー / まちづくりプランナー

1975年 熊本市生まれ。2000年、学生の傍らデザイン活動triviaを開始。個人的な「想い出」を交換したり、公共の場に配置したりするプロジェクト「オモイデアンケート」を皮切りに、「まちづくり」「地域文化デザイン」という切り口から様々なプロジェクトに携わる。04年に熊本県杖立温泉街に移住。まちづくり機関「杖立ラボ」を設立し、住民の立場からまちづくりに取り組む。08年「南阿蘇えほんのくに」事務局長(~09年2月)を兼任。09年4月より九州大学 専任講師 。芸術工学修士(九州芸術工科大学)。





鹿屋デザインマーケット・トークライブ
「まちづくりで大切なこと。」

【開催日時】2012年3月4日(日)
【教室】鹿屋市北田商店街(デザインマーケット会場にて
【参加費】無料
【定員】50名程度
【開校式の流れ】
 13時45分~ 受付開始
 14時00分~ トークライブ・田北さんのお話
 15時30分~ 休憩
 15時40分~ 北田商店街の方よりお話
 15時55分~ 田北さんと会場のみなさんと意見交換
 16時30分頃 終了予定

※:本授業は、当日受付も可能です。 (ただし、定員を上回る場合は予約されている方が優先となります。)

その他、トークライブに関するお問い合わせは下記にて。
sakurajima.univnet@gmail.com


授業予約申込みフォームへ



2012年2月1日水曜日

2月の授業スケジュール

[授業:演劇]2012年2月4日(土)10時〜16時:かわなべ森の学校
「プレイバック・シアター in かわなべ森の学校」

第三話 中原公園 ~鳥の目線になれるところ~



飛行機を間近に見た興奮も冷めやらぬまま、空港をあとにした私たち。空港からまっすぐ南北に延びる農道を山手に進むこと5分、次の目的地の中原公園に到着しました。じゅうたんのように芝生の生えそろった、風の通る気持ちのいい公園です。「ここから見る景色がとてもきれいなんだ」と「彼女」のお父さんから教えてもらった、とっておきの場所です。

公園には木組みの展望台があり、そこに登ると息をのむような景色が。



緑色の茶畑が地平線まで広がり、その奥にうっすらとキラキラ光る海。雲に浮かぶように顔を出す開聞岳。雲の細かい切れ目から見える空。自然のおりなす色が何層にも重なって幽玄ささえ感じるような風景。鳥の目線になったようにすべてが視界に入ってきます。

オモイデトラベルを通じてお会いした現地の方の多くが、枕崎はお茶の産地であり、緑茶のみならずとても品質のいい紅茶を作っているんだということを誇らしそうに語っていたのを思い出します。




景色にうっとりしているうちに日も昇ってきて穏やかな陽気になってきました。ベンチに腰をおろして一息。公園に来ていた子供と戯れたり、小学生の頃のように遊具に登ったり、思い思いの時間を過ごします。BON DXのライブと空港の飛行機の興奮でほてった心をさますようなゆっくりしたひととき。枕崎の風と太陽に包まれて懐かしい気持ちを取り戻した私たちは次の目的地へと向かいます。そろそろ、お腹が空いてきましたね。




次回「城山センターでお昼ご飯」へつづく




オモイデトラベル 〜枕崎 行き〜
プロローグ
第一話 BON DX Live ~BONさんの大きな笑顔~
第二話 枕崎の空 ~枕崎空港へ~
第三話 中原公園 ~鳥の目線になれるところ~
第四話 城山センターでお昼ご飯