2011年10月11日火曜日

Travel Potluck 01







トラベルというテーマを設けてから、毎日の生活にあらたな目線が加わったような気がします。誰かとの会話で、尋ねてみたいことがあったり、どこかに訪れた時に考えたり見てしまうことがあったりします。今後、この目線が自分たちのつくる旅に対しての「ものさし」になっていくとしたら、もう少しはっきりとさせておく必要がある。そう思いながら、まずは色々な旅の話を聞いてみようと決めて、一回目となるトラベルポッドラックを開催しました。
僕たちが、話を聞いてみたいなぁと思ったゲストのお二人の話の合間に、参加者の方々も自身の旅のエピソードを持ち寄る会。ワークのはじまりは、持って来たエピソードを文字に起こしてもらう作業から(作文)。思い出し、書くことから「旅って?」というスイッチを入れていったとても静かなはじまりでした。




ひとり目のゲスト「更紗屋雑貨店」を営んでいる松山さんは、「もの」を通した出会いのお話を聞かせてくれました。小学生の頃に、海外のおみやげにもらった、キャンディとの出会い。見慣れないお菓子のパッケージや色とりどりのかわいさから、どんな国の街に、どんなかわいいお店に、どんなふうに並んでいるのだろうと想像をしていったそうです。「ものがたりのあるもの」という松山さん活動コンセプトのはじまりに触れることができました。旅のお話でも、いろんな街での写真を見せていただきましたが、それらの街の景色やストーリーを込めた「もの」を持ち帰る。こんないいところあったよ、とストーリー付きの旅する雑貨販売。誰かが持ち帰った「もの」をきっかけに、その国に旅してみたいと思うかもしれない。松山さん自身がいいと思う「もの」との出会いには、旅することが条件のような感じがする。
もうひとつ、松山さんが夢中になっているポストクロッシングというものを教えてくれました。オンラインを通したサービスで、世界中の方々と絵はがきの交換をできるもの。送る相手も送られてくる相手も、自分では選べないので、思いもしない国から絵はがきが届く楽しみがあるそうです。朝に、ポストをあけるのが楽しみだそう。松山さんは、自分の部屋にいながらに、絵はがきの交換を通して、世界中の街の風景を思い描きながら、きっとまた次の旅のことを思っているのです。




ふたり目のゲストは、ヤマシタケンタさん。甑島出身のケンタさんとお会いしたのは一度だけ。その時は、彼の昔話と甑島のアートプロジェクトのお話でした。その昔話の方が、とてもオモシロくて残っており、ゆっくり話をしたいなぁ思っていました。ケンタさんは、甑島の紹介とこれまでの自分の活動や昔話を織り交ぜながら、楽しそうに話を進めてゆきます。「しまなび」という旅人を受け入れる側の話から、日常に自然と旅がかかわっているのだと気づかされます。ケンタさんのお話は、お父さんとの出来事、おじいちゃんの昔話、近所のおばぁの話と、家族や普段の暮らしに近い距離の話ばかり。なのに、ドキュメンタリームービーを見てるような物語に感じます。丁寧にお米をつくっているお話から、おいしそうな風景を想像してしまい、お腹がすいてくるような。
今は、ある出来事がきっかけで、島に「音楽を」と望み、ゴッタンという民族楽器(南九州)を追いかけているそうです。島で、歴史をしらべ、見つからなかったら、外にとび出し、そして自分たちでゴッタンの音楽をつくっている。「この瞬間の出来事でも、何十年後かには島の歴史や伝統の音楽となっているかもしれない。」そう思っているのだそうです。ケンタさんの「旅って?」は、「島の記憶をたどること」。島の歴史をたどりながら、つなぎながら、これからの歴史も刻もうとしている姿に、とても心動きました。ケンタさんの好きだった、今はもう無くなってしまった「アコウの木」がつくる風景の跡地を、訪ねに行くのが楽しみです。

おふたりのゲストの合間の、参加者のみなさんとの旅の話のやりとりも、良き時間となりました。自分にはない、視点や体験の話を聞くことができるのは、とても贅沢な時間だなぁと思います。ひとりの参加者の方が、僕たちがプレ授業でひらいた「かのやデザインパワースポットめぐり」を、もう一度巡ってきたエピソードを話してくれました。あの時に見たものや、素晴らしかった鹿屋の海からの夕陽を、大事な方に見せたくなって、たどっていったそうです。ある参加者は、授業後に早速ポストクロッシングを試してみてるよう。誰かの、何かのきっかけとなることが、一番の喜びだなと思います。今回の、トラベルポッドラックはトラベルチームにとっても、これからの活動のひとつのものさしをつくる、良き時間となりました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。そして、ゲストの松山さんとケンタさん、素敵な旅路をありがとうございました。


photo by undoandy

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